「AIでサイトが作れる」と聞いて、実際にClaudeへプロンプトを入力してみたものの、どこか物足りない仕上がりになった経験はないでしょうか。
レイアウトは整っている。レスポンシブ対応もされている。コードも綺麗。しかし、プロが作ったサイトと比べると何かが違う。
その違和感の正体の1つが、アセットの品質にある場合があります。
現在のAIサイト制作では、HTMLやCSSの生成能力だけで差別化することが難しくなってきました。一方で、高品質なビジュアルやテクスチャ、イラストなどのアセットは、サイト全体の印象を大きく左右します。
そこでおすすめしたいのが、
「ChatGPTでデザインとアセットを作り、Claudeで実装する」
というワークフローです。
本記事では、ChatGPTとClaudeを組み合わせてサイトのクオリティを大きく向上させる方法と、その背景にあるClaudeのマルチモーダル能力について紹介します。また、最後には実際の作例をもとに、さらに完成度を高めるためのTipsも解説します。
なぜAIで作ったサイトは完成度に差が出るのか
最近ではClaudeや各種AIコーディングツールを利用することで、短時間でサイトを構築できるようになりました。
さらにレンタルサーバーなどのデプロイスキルを利用すれば、作成したサイトをそのまま公開するところまで自動化できます。
しかし同じAIを利用していても、
- 「AIっぽいサイト」
- 「プロが制作したようなサイト」
には大きな差があります。
その差を生み出している要素のひとつが、アセットの品質です。
例えば以下のような要素です。
- ヒーローセクションのビジュアル
- 背景テクスチャ
- グラデーション
- 立体表現
- イラスト
- アイコン
- 写真素材
現代のWebサイトでは、コードだけでなく視覚情報そのものがデザイン品質を決定しています。
どれだけ優れたHTMLやCSSを生成できても、ビジュアルが弱ければサイト全体の印象も弱くなってしまいます。
Claude単体でのサイト制作が難しい理由
Claudeは非常に優秀なコーディング支援AIです。
特に以下のような作業を得意としています。
- 大規模なコード生成
- コンポーネント設計
- レスポンシブ対応
- デザインの再現
- 長いコンテキストの理解
一方で、サイト制作という観点では課題もあります。
それがデザインアセットの生成です。
AIサイト制作では、
- ヒーローイメージ
- 背景画像
- テクスチャ
- 装飾素材
などを活用することで、サイトの完成度が大きく向上します。
しかし、Claudeは画像生成を主目的としたサービスではありません。
そのためClaudeだけでサイト制作を完結させようとすると、
- コンセプトは良い
- 実装も綺麗
- しかし見た目が平坦になりやすい
という状況になりやすくなります。
ChatGPTを組み合わせるとクオリティが上がる理由
そこで活躍するのがChatGPTです。
ChatGPTは高品質な画像生成機能を持っており、サイト制作に必要なビジュアル資産を効率よく作成できます。
例えば、
- サイトの完成イメージ
- UIモックアップ
- テクスチャ素材
- 背景画像
- キービジュアル
- イラスト
などを事前に用意できます。
ここで重要なのは、
ChatGPTでサイトを作るのではなく、Claudeで高品質なサイトを作るための材料をChatGPTで用意する
という考え方です。
役割分担すると以下のようになります。
| ツール | 主な役割 |
|---|---|
| ChatGPT | デザイン、画像生成、アセット制作 |
| Claude | サイト実装、UI構築、ブラッシュアップ |
| さくらのレンタルサーバーのデプロイスキル | サイト公開 |
この流れを使うことで、それぞれの強みを最大限活用できます。
Claudeの「マルチモーダル」とは
このワークフローが成立する理由として、Claudeのマルチモーダル能力があります。
マルチモーダルとは
マルチモーダルとは、
テキストだけでなく画像や視覚情報も理解できる能力
のことです。
たとえば人間のデザイナーも、
- 要件書
- デザインカンプ
- 参考サイト
を見ながら実装します。
Claudeも同様に、画像を認識しながら実装できます。
プロンプトだけでは情報量に限界がある
例えば次のような指示を考えます。
未来感のあるSaaSサイトを作ってください
これだけでは解釈の幅が非常に広くなります。
Claudeは最善を尽くして実装しますが、
- 色味
- 世界観
- レイアウト
- グラフィック表現
などは曖昧なままです。
完成図やアセットを渡すと再現精度が大きく向上する
一方で、
- 完成予想図
- UIモックアップ
- テクスチャ素材
- 背景画像
を同時に渡した場合はどうでしょうか。
Claudeは視覚情報から
- 色使い
- レイアウト構造
- 装飾要素
- アニメーション方針
- コンポーネント設計
を推測できるため、再現性が大きく向上します。
これはマルチモーダル能力を活かした制作手法といえます。
おすすめの制作フロー
実際には以下の流れがおすすめです。
Step1. ChatGPTでサイト構想を作る
まずは作りたいサイトを整理します。
例えば、
- コーポレートサイト
- ポートフォリオ
- イベントLP
- ゲームサイト
などです。
ターゲットや世界観もこの段階で固めておきます。
Step2. 完成イメージを生成する
次にChatGPTで完成イメージを作成します。
この段階では実装を意識する必要はありません。
まずは、
「最終的にどう見せたいか」
を明確にすることが重要です。
Step3. テクスチャやアセットを生成する
完成イメージができたら、デザインを構成する素材を切り出していきます。
例えば、
- グラデーション背景
- ノイズテクスチャ
- グローエフェクト
- パーティクル背景
- 装飾パターン
- アイコン素材
などです。
実際の制作では、この工程がサイト品質に大きく影響します。
完成イメージからテクスチャなどのアセットを生成することができるので、最終的なイメージにより近づけることができるようになります。
Step4. Claudeへまとめて渡す
次にClaudeへ以下を渡します。
- サイト要件
- 完成予想図
- アセット素材
ここで重要なのは、
「いい感じに作って」
ではなく、
「この完成図を再現してください」
という指示に変わる点です。
Claudeは画像を認識しながら実装できるため、非常に高い精度で再現できます。
Step5. デプロイスキルで公開する
実装が完了したら、デプロイスキルを利用してレンタルサーバーへ公開します。
サイト制作から公開までの流れをAI中心で完結できるため、アイデアから公開までのスピードを大幅に向上できます。
また修正の試行錯誤を短期間で行うことができるのも大きなメリットです。
制作物のクオリティは修正を如何に効率よく繰り返すかという点にも影響を受けます。
効率化を徹底することでアウトプットを向上させていくことができます。
実例紹介:アセットを活用するとどう変わるのか
実際にこの方法で作成したサイトを見てみると、最も大きな違いは世界観の統一感です。
プロンプトだけで作成したサイトでは、
- AIらしいテンプレート感
- 無難なデザイン
- 汎用的なUI
になりやすい傾向があります。
一方でアセットを用意した場合は、
- ブランドイメージの統一
- 独自性のあるビジュアル
- 高い没入感
を実現しやすくなります。
特にヒーローセクションの印象は大きく変わります。
ユーザーが最初に目にする領域だからこそ、ここに高品質なアセットを投入する効果は非常に大きくなります。
実例:化粧品LPの作成
下記はChatGPTで「サイト構成案」、「完成イメージ図」、「アセット作成」までを行なって、Claudeにサイト生成を依頼した例です。
ChatGPTで納得がいくまで完成イメージを固め、そこからアセット作成を行っています。
完成イメージ図からアセットを作成する場合は下記ようなプロンプトで依頼します。
完成図からテクスチャアセットを作成してください。
アセットは元画像の切り出しで行うのではなく、1つ1つ再生成してください。
画像は全て透過PNG形式で、背景は透明にして。
生成したアセットはまとめてダウンロードしたいのzipにして。「完成図からアセットを作成してください」と伝えるだけでは、完成図を切り取って、余計な背景付きでアセット作成してくる場合があります。
そのため1つ1つの素材を背景なしの透過PNGにしてもらうことが大事です。
生成アセットが複数個ある場合は1つ1つをダウンロードする手間が大きくなるので、zipにまとめてもらうのがおすすめです。
zipに求めてもらうことでグループごとにフォルダを作って生成してくれるなどメリットもあります。
アセット生成で注意点&Tips
- 背景が消えないときは再度作り直してください
- それでも背景が消えないときは背景色をクロマキーグリーン (#00FF00)で指定し、Claudeに背景を取り除く処理をお願いしてください (背景の#00FF00を取り除いて透過にしてもらう)
- 複数のアセットを同時に生成する場合、zipにまとめるように指示をしないと、最後の1つだけしか表示されないことがあります
- プロンプト生成と同じチャットで画像を生成すると画像がチープになることがあります。その場合は画像生成用に別のチャットを用意して再生成してください。
- 作成されたアセットは1つずつ人間の目でしっかりと確認してください。
ChatGPTで作成した完成イメージ図

ChatGPTで作成したプロンプト
JavaScriptライブラリとして、
3D表現が得意なThree.js、軽量でアニメーションが得意なGSAPを利用するように指示しています。
# Three.js × 化粧品ブランドLP 制作指示書
## プロジェクト概要
高級スキンケアブランド「LUMIÈRE」をイメージした、フルスクリーン型のプレミアムランディングページを制作する。
サイトの方向性は以下。
- 日本の高級化粧品ブランド
- ミニマル
- ラグジュアリー
- 透明感
- 光
- 水
- 美容成分
- 上質な余白
- Apple・Aesop・SK-II・DECORTÉレベルの品質感
- Three.jsを活用した没入感のある表現
商品を主役にしながら、人物ビジュアルと光の演出で世界観を構築する。
---
# 技術要件
## 必須
- Three.js
- HTML
- CSS
- JavaScript
- GSAP
- レスポンシブ対応
- SPA風スクロールLP
## パフォーマンス要件
- LCP 2.5秒以内
- CLS 0.1以下
- モバイル対応
- WebP対応
- lazyload
- requestAnimationFrame活用
---
# デザインコンセプト
## キーワード
- Pure
- Water
- Light
- Transparency
- Luxury
- Beauty
- Future
- Science
## カラーパレット
### メイン
```css
#fbf8f4
#ffffff
#f6f2ee
#ebe3db
```
### アクセント
```css
#d9cfc5
#c8b8a6
#bfa58d
```
### テキスト
```css
#2d2926
#4d4845
```
---
# フォント
見出し
- Noto Serif JP
- Yu Mincho
- Playfair Display
本文
- Noto Sans JP
---
# ページ構成
## セクション1 Hero
### レイアウト
左
- 人物ビジュアル
中央
- キャッチコピー
右
- Three.jsの商品ボトル
背景
- 光のウェーブ
- パーティクル
- ソフトグロー
### キャッチコピー
```text
素肌が、目覚める。
澄みわたる、
うるおいの先へ。
```
### Three.js演出
商品ボトルが
- ゆっくり回転
- 浮遊
- マウス追従
- スクロールで移動
---
# セクション2 Concept
## レイアウト
左
テキスト
右
人物ビジュアル
背景
葉影オーバーレイ
### 見出し
```text
美しさの源は、
すこやかな素肌。
```
---
# セクション3 Ingredients
## レイアウト
左
商品ボトル
右
成分説明
背景
水面リップル
### 成分アイコン
1
ヒアルロン酸
2
ナイアシンアミド
3
セラミド
4
グルタチオン
### 演出
スクロールで
- アイコン出現
- 透明度変化
- パララックス
---
# セクション4 Texture
## テーマ
うるおい
## ビジュアル
- 水滴
- 水面
- ドロッパー
- 光の粒
背景に透明PNGオーバーレイを使用
---
# セクション5 Product Lineup
## 商品一覧
### 化粧水
product_lotion_bottle.png
### 美容液
product_serum_dropper_bottle.png
### クリーム
product_cream_jar.png
### クレンジング
product_cleansing_tube.png
---
# セクション6 How To Use
## レイアウト
左
手元画像
右
ステップ説明
### STEP
```text
STEP 1
化粧水
STEP 2
美容液
STEP 3
クリーム
STEP 4
UVケア
```
---
# セクション7 Review
カード形式
- 星評価
- コメント
- 年代
横スクロール
---
# セクション8 News
カード形式
- 画像
- 日付
- タイトル
---
# Footer
以下を配置
- ABOUT
- PRODUCT
- INGREDIENTS
- HOW TO USE
- NEWS
- SUPPORT
SNSアイコン
- Instagram
- X
- LINE
---
# Three.js演出
## Hero
GLB商品モデル
または
PNGプレーン
### 動き
```js
rotation.y
sin波による浮遊
```
### マウス追従
```js
mousemove
```
### パララックス
```js
scrollY
```
---
# パーティクル
小さな光粒
- 100〜300個
- ゆっくり移動
- 加算合成
---
# 背景エフェクト
使用するアセット
## 人物
```text
people/
person_hero_cutout.png
person_touch_cutout.png
```
## 商品
```text
products/
product_lotion_bottle.png
product_serum_dropper_bottle.png
product_cream_jar.png
product_cleansing_tube.png
product_pump_hands.png
```
## 背景
```text
backgrounds/
hero_light_wave_overlay.png
product_water_ripple_overlay.png
concept_leaf_shadow_overlay.png
texture_water_splash_strip.png
section_warm_ivory_panel.png
section_cool_white_panel.png
```
## 成分
```text
ingredients/
ingredient_hyaluronic_acid_icon.png
ingredient_niacinamide_icon.png
ingredient_ceramide_icon.png
ingredient_glutathione_icon.png
```
---
# 将来的な拡張
設計段階から考慮すること。
## EC連携
- Shopify
- EC-CUBE
- WooCommerce
## 会員機能
- ログイン
- マイページ
## ランキング
- 人気商品
## CRM
- メルマガ
- LINE連携
## 多言語化
- 日本語
- 英語
- 中国語
---
# ゴール
ユーザーがページを開いた瞬間に
「高級感」
「透明感」
「うるおい」
「先進性」
を感じられること。
静的なLPではなく、
Three.jsを活用した
高品質なブランド体験サイトとして実装する。
品質基準は
- DIOR Beauty
- CHANEL Beauty
- DECORTÉ
- SHISEIDO
- SK-II
と同等クラスを目標とする。ChatGPTで作成したアセット
(TBD) zipデータを配置
Claudeへの指示
化粧品のLPを作成をお願いします。
提示するプロンプト、完成図、アセットをもとにサイトに要件を確認して作成してください。
不明な点は確認してから進めるようにしてください。
※こちらの指示と合わせて、アセットや完成図の置き場所(パス)、プロンプトを渡します。Claudeに作ってもらった実際のサイト
完璧に完成図と同じにならない場合もありますが、構成や質感を含めてかなり近づけて再現してくれます。
(TBD) URLを本番に差し替え
https://ai-site-test.sakuraweb.com/skin_care_lp
さらに品質を上げるためのTips
いくつかのTipsをご紹介させていただきます。
完成図は複数用意する
1枚だけでは情報量が不足する場合があります。
例えば、
- トップページ
- 下層ページ
- スマートフォン表示
を用意すると、Claudeがデザインルールを理解しやすくなります。
コンポーネント単位でも素材を作る
サイト全体だけでなく、
- ボタン
- カード
- フォーム
- ナビゲーション
なども個別に作っておくと再現度が向上します。
参考サイトより完成図を使う
参考サイトURLを渡す方法もあります。
しかし実際には、
参考サイト → Claudeが解釈 → 実装
という変換が発生します。
一方で完成図なら、
完成図 → 実装
となるため、意図が伝わりやすくなります。
アセット名やフォルダを整理しておく
種類ごとにフォルダを作成するのもClaudeに意図を伝える良い工夫です。
背景、ボタン、ヒーロー画像(メイン画像)など意図に応じたフォルダを作るのがおすすめです。
またアセット名も何のパーツかわかるようにつけておくと、素材の役割が明確になるため、Claudeと人間も利用方法を理解しやすくなります。
これらの指定をアセット生成時にChatGPTに指定するのも1つの手です。
まとめ
AIによるサイト制作は、すでに「作れるかどうか」ではなく「どこまで品質を高められるか」のフェーズに入っています。
その中で重要になるのが、実装能力だけではなくアセット品質です。
ChatGPTで完成イメージやビジュアルアセットを作成し、それをClaudeへ渡して実装することで、プロンプトだけでは実現が難しい高品質なサイトを作りやすくなります。
そして、この手法の鍵となるのがClaudeのマルチモーダル能力です。テキストだけでは伝わらないデザイン意図を画像によって補完できるため、再現性と完成度を大きく向上させられます。
AIサイト制作が一般化した今だからこそ、「どのAIを使うか」ではなく、「それぞれのAIの強みをどう組み合わせるか」が重要になっています。
ChatGPTでデザイン、Claudeで実装。
この組み合わせは、これからのAIサイト制作における新しい定番のひとつになるかもしれません。